2025年にかける思い、チタン工房キムラのこれまでとこれから
「チタンに、未来を託す。」
眼鏡部品からアクセサリーへ。チタン工房キムラのこれまでとこれから
福井県鯖江市、眼鏡の名産地として知られるこの地で、チタン工房キムラは誕生しました。
(2024年現在は福井の北部、坂井市春江町に社屋移転)
1975年の創業以来、眼鏡部品の製造を手掛けてきました。
しかし、2001年、今のアクセサリーブランドとしての新たな道を切り開くことに
■ 眼鏡からアクセサリーへ——チタンへのこだわり
「もともとは眼鏡の部品を作る会社でした」
1975年の創業当時より眼鏡部品の材料は時代とともに変化し続け、1980年代後半になるとチタンが注目されるように。
軽く、錆びず、強靭なチタンを自在に加工するため、同社は 異形線材料の圧延加工 や 細かい部品の切削技術を磨いてきました。
しかし、時代の流れは厳しく、眼鏡部品の注文が右肩下がりを続けていた最中、2001年に現代表である私、福田が入社。
当時の社長から「培ってきたチタン加工技術を活かし、新たな分野へ進出せよ」と託されました。
弊社は小さい会社なので、大手と同じ土俵で戦うのは難しい。だからこそ、チタンという特殊な素材を活かし、簡単には参入できない市場を開拓しよう」 と考えました。
そこで着目したのが チタンアクセサリー でした。
元々、当社は部品加工屋でしたので特徴的な構造の部品がよく人目につく方法が無いか?を考えての事でした。
■ チタンアクセサリーという新たな可能性
「チタンは、加工が難しい金属です。しかし、同時に非常に魅力的な素材でもあります。
金属アレルギーが出にくく、人に優しい。軽くて丈夫、特性を考えた時、この金属で作るアクセサリーには大きな可能性があると感じました。」
チタンの特性を活かしたアクセサリーづくり。
しかし、そこには経験のない分野への挑戦という壁が立ちはだかりました。
「アクセサリーを作った経験はありませんでしたが、自社の加工技術の強みを活かせるデザイン を常に考えていました。」
最初に作ったのは、材料開発段階で山のように積みあがっていたチタン角パイプに糸を通したネックレス。
が、心躍るようなデザインとは程遠いものでした。
以降、
「普段身に着けるものは単なる装飾品ではなく、チタンの持つ魅力を引き出し、快適に着用いただき、かつ身につける人に特別な価値を提供する」
という考えのもと、少しづつ勉強、必要に応じ、投資を行い、開発を積み重ね、現在にいたっています。
■ 未来へつながるものづくり
チタン工房キムラのアクセサリーには、「時がたっても変わらず愛されて欲しい」 という想いを込めています。
「チタンは、変わらない強さを持った金属。だからこそ、長く愛用できる、人生に寄り添うアクセサリーを作りたい。」
職人の手仕事によって磨き上げられたチタンアクセサリーは、単なるファッションアイテムではなく、持つ人の個性を映し、物語を刻む存在 でありたいと考えます。
「チタンに、未来を託す。」
そう信じて、今日も新たなアクセサリーを考え続けています。
■ 工業の力を活かし、アクセサリーに革新を
「工業の力で、アクセサリーに新しい命を吹き込む。」 これが今の私の考えです。
工業の技術とエンジニアリングの視点を取り入れ、伝統的な職人技では表現できない新たな造形を追求しています。
「チタンは神話から名付けられたほど強靭な金属です。日々チタンについての応用を考えています。
が、考えれば考えるほどこの金属の最大の使命は、人に使われることではないかと私は思うようになりました。」
「私はもともとアクセサリーデザイナーではありません。福井県鯖江市の工業学校、機械工学科を卒業し、エンジニアを志していました。
だからこそ、工業技術の力でアクセサリーに新しい息を吹きかけたい という想いがあります。」
現在、弊社では3次元CADを活用し、デジタルテクスチャを開発。
機械加工による、木目、シボ模様といったテクスチャ模様や流麗な曲線をチタンアクセサリーに落とし込んでいます。
「機械加工は直線的な加工が得意ですが、自然界にある流れるようなラインや細かな凹凸の表現は苦手です。でもあえてそこに挑戦したい。」
エンジニアとしての探求心が、新たなデザインの可能性を切り拓く原動力となっていることは確かです。
■ すべてのデザインは、日常の中に
「普段の生活の中で目に入るものすべてがデザインのヒントになります。」
雲の形、建物の造形、壁のテクスチャ、風で揺れる水面の模様——。
自然界や都市の中にある「脳が違和感を覚えない流麗な曲線」をテーマに、工業技術を駆使してチタンに刻み込んでいます。
「人の手では描けない美しさ。それをDXおよび機械加工の力で再現する作業循環を作りたい」
これが今のチタン工房キムラのものづくりの根底にある哲学です。
■ チタンを扱う難しさと、それに挑む姿勢
「チタンは、扱いが非常に難しい金属です。磨きや研磨の工程一つとっても、機器の状態や研磨剤の種類によって仕上げが変わります。」
さらに、仕上げの順番を間違えると、美しく仕上がらない。
だからこそ、製造工程にはルールを設ける。
しかし、一方で、手間をかけすぎると、かえって美しさが失われることがあるとも思っています。
必要な手間は惜しまない。でもやりすぎると、素材の良さが消えてしまう。 チタンの難しさであり、同時にエンジニアとしての力が試される部分です。
■ 「誠実で嘘のないものづくり」を心がける
制作基準は、あくまで自分自身。
「自分が受け取ったと仮定して、『うん?』と感じたら作り直し。 たとえ手間がかかっても、自分の中でGOサインが出なかったら出しません。」
世界中のブランドメーカーがそうしているように、規模は小さいですが心構えだけは当社もそうありたいと思い、守っています。
■ 常に最新作が最高傑作
どの作品も、自分たちが考え抜いて作ったものばかり。だからこそ、常に新しい作品が最高傑作だと思っています。
機械工学とデザインの融合。
伝統と革新のバランス。
そのすべてが詰まった作品がチタン工房キムラのアクセサリーとして世に送り出されています。
アクセサリーにあまり興味が無い方でもこのような目線で見ていただくとなるほど、と思っていただけるのではと思います。
■ 身につける人の一部となるアクセサリーを
アクセサリーは 持つ人の考えや嗜好を映し出し、その人の一部となる存在であると考えています。
企画デザインから製造・販売まで一貫して手掛ける自由度の高さを活かし、よりユーザーの理想に近づけることにこだわっています。
「決して安くはないお代をいただいている以上、少しでも満足していただけるようにしたい。」
開業以降、自分の中では真面目に対応し、取り組んできたと思っています。至らぬ点があった場合は素直に謝ることもしています。企業団体ではなく、個人向けに特化した販売で 、2024年末現在での出荷実績は42000件以上になります。
■ 身につける人の「自分らしさ」を表現するカスタム対応
当社の特徴は
自社製造が出来る事
ユーザーからのお声・言葉を形に持っていける事
この強みを生かし、ユーザーの要望に応じたセミオーダー・カスタム対応が可能なことです
私はここに入社する前、別の会社で機械の原価計算をする仕事をしていました。
そこで文字化された内容・言葉を金額に変えるという仕事を日常を繰り返していましたが、その中で相手が言わんとするところを文面から汲み取って慮る力が知らず知らずのうちに培われたのではと思います。
これといった取柄のある人間ではありませんが、これが唯一の強みとなって今のカスタム対応が出来る体制につながっているのだと思います。
当社は普段、ネット通販による非対面販売が主です。
非対面なので基本はメールによるデザインやりとりになります。
意思疎通を考えるとフルオーダーは難しいので、当社の商品をベースとしたセミオーダーで受けています。
ただし対面打合せによる、フルオーダーのご相談については承ること、可能です。
事前に来店日時を問合せいただければ対応いたします。
■企画から製造、販売まで1ストップ、社内一貫体制
眼鏡産業はもとより一般的には、企画・製造・販売は分けて考えられています。
当社は企画デザインから製造、販売まで社内で一貫して行っています。だからこそ、他のアクセサリー業者にはできない、自由度の高いものづくりが可能です。
お客さまとのやりとりは自身で行っています。ですのでお客様の生の声もすぐに届きます。技術開発、商品開発には事欠くことはないです。
チタン工房キムラではコア技術である切削、彫刻、溶接、3D CADを駆使し、原則すべての工程を自社で完結できるため、細かな要望にも柔軟に対応できます。
ただし、大量生産に向いたプレス加工、メッキなどの着色、表面処理は行っていません。この点においては力足らずですみません。
■ 「この仕事をしてみたい」— アクセサリーが人生を変えた瞬間
ものづくりへの情熱は、時として人の心を動かすこともあります。
手にしたお客様から、「想像以上だった」「一生お守りとして大切にします」といった声をいただくことが、ものづくりの喜びにつながっていることは確かです。
「何年か前の話ですが、購入したアクセサリーを手にして感動したお客様が、『この仕事をしてみたい』と言って履歴書を持って会社に来たことがありました。」
アクセサリーが単なるファッションアイテムではなく、人生に影響を与えるほどの存在になった瞬間だったと今でも強く記憶しています。
■ 「想像した形が、具現化する瞬間がたまりません
自分にとって、ものづくりの最大の喜びは、「自分が考えたデザインが、実際に形になった瞬間」 です。
熟慮を重ね、考え抜いた制作工程を経て、想定通りの形が完成した時が一番好きです。やっぱりエンジニアの考えなのかもしれません。
ものづくりにおいて、アイデアだけでは形にならない。
それを実現するためには、緻密な技術と精密な工程管理が必要不可欠です。
「とにかく、他とは一線を画した商品作りをし続けたい。」
その想いが、チタン工房キムラのものづくりの原動力となっていることは確かです。
■ 最新の加工技術で、チタンの可能性を追求する
チタン工房キムラのアクセサリーには、最新の工業技術が投入されています。
やっていることはアクセサリー製造ですが、最初にも申した通り、切削・接合・圧延・研磨といった技術はもちろん、3D CAD/CAM、同時5軸NC加工といった最新のDX技術も駆使しています。
これらの技術を活用することで、より理想に近いデザインのアクセサリーを実現しています。
チタン加工、5軸加工、3Dデザイン。これら現代工業のトレンドをすべて取り入れ、これからも唯一無二のアクセサリーを生み出していきたいと考えています
また、同社ではアクセサリー事業以外にも、チタンとチタン合金、ステンレスを瞬時に見分ける装置の製造販売も行っています。
アクセサリー業界だけでなく、チタンの専門家として、常に一歩先を進む企業であり続けようと思っています。
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■ 「まだまだできることはある
小さな工房から、いろんな可能性を追求し続けます。
弊社は、3名で運営している小さな工房です。でも、まだまだできること、考えられることはたくさんあると信じています。
ものづくりにおいて、規模の大小ではなく、重要なのは、どれだけの情熱とこだわりを持って、唯一無二のものを生み出せるか。
チタン工房キムラは、これからもユーザー目線で考え、常に新しい価値を提供できる企業であり続けたい と思います。そのために、日々の勉強と技術の追求を怠らず精進し続けます。
最新の技術を駆使し、チタンの新たな可能性を切り拓きながら、お客さまが満足していただける「自分らしいアクセサリー」を作り続けます。
チタン工房キムラの挑戦は、これからも続きます。